絵画/油絵/油彩画

　馬渡裕子が創りあげる世界にはお馴染みの動物たちが登場する。少年や中年の男性などであっても、人格を消されて一種記号のような扱いだから、動物は、夢 の語りべたる彼女のもっとも扱いやすい道具であるかのようだ。意識と無意識のアマルガムからうまれた方程式には、一つの解しかないわけではない。

　インスピレーションと、足したり引いたりの作業から出来てしまった絵は、出来上がった瞬間、鑑賞者はもちろん、作家にとっても共通の謎となる。謎を解く共通項をあえて言えば、習慣やしくみによって隠されている、生きて存在することの根源的不確かさ。それを喜劇と見るか悲劇と見るかによって違う、この小さな絵が引き起こすユーモアあるいはペーソスの感覚を味わいながら、オルターナティブな解をそれぞれに楽しんでほしい。

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